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パワハラ・セクハラ対策は、経営者・経営層に必須です|法ラボ主催セミナーレポート

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昨今、毎日のように各種メディアで取り上げられる『パワハラ』や『セクハラ』といったハラスメントトラブル。今回Legal laboratory(法ラボ)は6月28日(木)に新橋・SHIODOME BUSINESS FORUMにて「経営者・経営層のためのパワハラ・セクハラ対策」と題したセミナーを主催しました。

 

社内のハラスメントトラブルにおける対処法を、4人の弁護士の先生たちに判例をもとに解説いただきました。規模の大小に関わらず、企業の経営者・経営層が覚えておきたい内容です。ここで講義内容の一部をレポートします。ぜひ参考にしてください。

 

 

 

セミナー講師のご紹介

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(写真:左)西村綜合法律事務所 髙畑富大 弁護士

(写真:中)あい湖法律事務所 石井宏之 弁護士

(写真:右)高谷総合法律事務所 佐藤英幸 弁護士

(写真:―)川合晋太郎法律事務所 神尾真澄 弁護士

 ※講師を担当いただいた弁護士の先生たちは、いずれもハラスメントトラブルに対するスペシャリストです。各先生たちに、自社のハラスメントトラブルを直接相談することもできます。ご希望の方は、各先生のお名前から専用ページにアクセスし、詳細をご確認ください。

 

そもそもパワハラパワーハラスメント)とは

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――まずはパワハラの判断基準から説明します。厚生労働省が発表している資料によれば「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的な苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為(厚労省『職場のいじめ・いやがらせ問題に関する円卓会議ワーキング・プア』)」となっています。

 

東京地裁判例をみるとパワハラを行った者の人間関係、当該行為の動機・目的、時間、場所、態様などを総合考慮の上、企業組織もしくは職務上の命令関係にある上司等が、職務を遂行する過程において、部下に対して職務上の地位・権限を逸脱・濫用し、社会通念に照らし客観的な見地からみて、通常人が許容しうる範囲を著しく超えるような有形・無形の圧力を加える行為(東京地判平成24・3・9労判1050号68頁)」とされています。

 

もう少しかみ砕いて見てみましょう。およそパワハラには6種類あると言われています。

  1. 暴行・傷害(殴る・蹴るといった行為です。髪を引っ張った、胸座をつかんだなども該当する恐れがあります)
  2. 暴言・脅迫・名誉棄損(「バカ」「アホ」などが暴言です。また「給与ドロボウ」とか「バイトの方が優秀だ」などという発言を社員にすると、名誉棄損になる恐れがあります)
  3.  無視・隔離(これは読んで字の如くです)
  4.  過大な要求(無茶な量の仕事を突然振り分ける行為などです)
  5.  過小な要求(突然シュレッター係をやらせるなどです)
  6. 私的なことへの立ち入り(例えば、侮蔑を込めて「お前は○○大学出身だからな~」といった発言をするなどです)

これらは文字にすれば納得できる一方で、どこからどこまでがパワハラなのかが分かりづらいですよね。そのため法的な観点では、ケースバイケースで判断されることが多いのが実状です。

 

違法なセクハラ(セクシャルハラスメント)の定義

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パワハラ』と同様か、それ以上に『セクハラ』に対して悩まれる経営者・経営層の方は多いのではないでしょうか。

 

例えば…

『どこからがセクハラ?』

『従業員からセクハラ被害を訴えられた場合の会社の法的な責任は?』

『どのような対応をすべきか?』

『セクハラした従業員の処遇はどうすべきか?』

『社内でのセクハラを事前に予防することはできないのか?』etc…。

といった悩みをよく耳にします。ひとつずつ見ていきたいところですが、ここでは『どこからがセクハラ?』という問題を取り上げたいと思います。端的に答えると…。

 

労働者の意に反する性的な言動を言うとなっています。

 

実は『セクハラ』には違法と認定される場合と、そうでない場合があります。違法と認定されるセクハラの判断基準は、判例上は次の通りです。「被害者の主観的な感情を基準に判断されるものではなく、両当事者の職務上の地位・関係、行為の場所・時間・態様、被害者の対応などの諸般事情を考慮して、行為が社会通念上許容される限度を超え、あるいは社会相当性を超えると判断される」場合。

 

なんだか分かりづらいですよね。よく聞かれるのが「被害者が嫌だと思ったら、それは『セクハラ』なんですか?」といった質問。しかし被害者の気持ちだけではなく、判例にある通り、客観的に見た場合に、常識を逸脱する行為があると『違法なセクハラ』になるというのが回答です。

 

もちろん、違法じゃなければ『セクハラ』をしても良いのかと聞かれれば、そんなことは絶対にダメです。しかし『違法なセクハラ』を行なった場合は、即座に法的に裁かれる可能性が高いことを覚えておいてください。

 

ハラスメントの対処にまず必要なこと

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パワハラ』『セクハラ』を問わず、ハラスメントトラブルの被害を従業員から相談・報告された場合、経営者・経営層は実態調査を行う必要があります。実態調査の進め方は、被害者と加害者とされる人物。そしてその周辺関係者に対するヒアリングです。

 

実態調査で気を付けたいのがヒアリングの順番。1.被害者⇒2.周辺関係者⇒3.加害者とされる人物の順でお願いします。被害者の話を聞いた後すぐに、加害者とされる人物に話を聞くと、加害者とされる人物が周辺関係者に対して隠ぺい行為を呼びかける可能性があるからです。

 

あくまでもヒアリングは公平な立ち位置で行いましょう。そして、ハラスメントの実態を把握してください。その際に忘れてはいけないのがプライバシーの配慮と、調査内容の録音です。法的な解決には客観性が必要なため、証拠の確保が求められます。

 

まとめ

ハラスメントトラブルは、会社経営にとってリスクの大きい問題です。被害者従業員から会社への損害賠償を求められる場合はもちろん、加害者従業員を下手に懲戒処分にした結果、加害者従業員からも訴えられる可能性があるからです。

 

そのためハラスメントトラブルを防止するために、就業規則規定を設けておくことや、相談窓口の整備、定期的な研修の実施が必要です。

 

また従業員から『パワハラ』『セクハラ』被害を指摘された場合は、丁寧かつ公正な実態調査、『パワハラ』『セクハラ』の有無の認定。被害者従業員への対応・加害者従業員への処分、再発防止策の検討を行ってください。

 

※注)ハラスメント被害は深刻なトラブルに発展する恐れがあります。より詳しい対処法は、弁護士に相談することが有効です。不明点や不安な部分があれば、この記事で紹介している弁護士の先生たちにお問い合わせください。

 

セミナー当日は、ここで紹介した内容だけで無く、判例を見ながらハラスメントトラブルの予防法・見極め方・対処法について詳しく先生たちにご解説いただきました。また、すぐに役立つ『ハラスメント(パワハラ・セクハラ)対策チェックリスト』や『就業規則規定例』といった資料の配布もありました。

 

今後もLegal laboratory(法ラボ)は、法律トラブルの解消に役立つセミナーを定期開催していきます。次回開催の詳細は、ぜひフェイスブック専用ページでご確認ください。